今回はちょっとした珍事がありましたので、そのご報告です。
1枚目の画像の〇枠の中の黒いもの、一体何だと思います?
あるお客様から、出窓から雨が漏っているので見て欲しいとのご依頼がありました。そして窓枠には奇妙なモノが付着しているけど、これは何なの?とも…。
前日まではなかったので一晩で出現したようですが、今まで見たこともないし、とりあえずは雨漏りの原因を調べようという事で、出窓の屋根を剥がしてみる事になりました。
すると、なんと野地板(屋根の下地材)が腐っているではありませんか!!(2枚目の画像)
どうやら雨が漏っていたのではなく、屋根内の通気が悪いため長年の湿気で腐ってしまったようです。
3枚目の画像の矢印部分(軒天)が丁寧にコーキングされていますが、これが仇となり湿気がこもってしまい、結果的に野地板を腐らせていたようです。
雨漏りの原因もわかり、野地板の交換と屋根板金をやり直して一件落着、と思っていた矢先、また件の黒いものが出てきました。さて、その黒いものって一体何だろうと思い調べてみたところ、「ムラサキホコリ」という粘菌の仲間だという事がわかりました。が、「粘菌」って何?ですよね。「粘菌」とは生物と植物の両方を持ち合わせた菌で、移動して萌芽するとの事で、1枚目の画像のように屋根裏で発生した菌が一晩で移動して萌芽させた(例の黒いもの)ようです。
2回目の発生は、菌がまだ残っていたせいだと思われますが、栄養になる腐敗した木部は取り除いてあるので、そのうち消滅するものと思われます。
見た目は気持ち悪いのですが、害もなく珍しい生き物なのと、南方熊楠(生物学者)が研究していたこともあり、一般的に好意的にとらえられているようです。
もしムラサキホコリが出てこなければ、腐敗が柱にまで及んだかもしれないと思うと、一躍買ったことになりますね。もし家の中でムラサキホコリを見つけたら、どこかが腐っているかも?と疑った方がいいかも知れません。
文:井上